1. 哀愁のメランコリー feat. 成田昭次

      哀愁のメランコリー feat. 成田昭次

      DIGITAL SINGLE

      曲のどアタマから、びっくりした。

      〈ワナ! ワナ! ワーナー!〉なのである。ザ・ヴィーナスが1981年に放ったヒットナンバー 「キッスは目にして!」をオマージュした〈ワナ〉がもう頭から離れない。あいだに入るティンパニー の男性っぽい迫力とサーフミュージックを彷彿とさせる、か細くも華やかな女性っぽいエレキギター サウンドが絡まり、Q.タランティーノの映画を彷彿とさせる雰囲気で幕を開ける物語は、 何やらのっぴきならない恋の行方だ。

      ボーカルには成田昭次をフィーチャリング、というか完全にデュ エットの世界が繰り広げられる。タイトルの言葉遣い、サウン ド、歌のムードと有り余る和感を身に纏いながらも、ただのナ ツメロにならないのがLittle Black Dress流の歌謡曲だと 言える。特に歌詞の世界観が圧倒的に過剰で、かつ感覚的、 こちらはまさに令和ならではといった趣だ。「人と人を繋いで くれる曲になって欲しいと願って詞を書かせてもらいました」 と本人が言うとおり、歌詞の中で描かれるシド・アンド・ナン シーのような破滅的な男女の恋の裏側に、コロナ禍で人と人と がなかなか直接会えない現状を読み取るのは、今を生きる我々 だからこそ可能だ。

      Little Black Dressが描く、時代を超越した歌謡曲―― 危さの漂う物語の果てに何を見るか? 大切なものを手渡され る確かな感触の残る楽曲だ。

      そして、すべてのリスナーの中でそれぞれの物語が始まる。